第27囚人戦車隊
(米=英=デンマーク・86)監督/ゴードン・ヘスラー
出演/ブルース・デイヴィソン、デヴィッド・パトリック・ケリー、ジェイ・O・サンダースオープニング、空襲の最中、路地を進撃してくるドイツ軍戦車。車内ではウォッカをラッパ飲みしながらドンチャン騒ぎするドイツ兵たち。彼らは戦車を降りると瓦礫の下から仔猫を救出する。・・・こんな非常時に何を呑気なことをやっているのだ、コイツらは? そう、彼らこそドイツ軍第27機甲師団第2小隊、人呼んで、囚人戦車隊! 減刑を条件に犯罪者で編成されたならず者部隊である。彼らは熾烈極まる東部戦線の最前線に送り込まれ、その多くは戦死する運命を辿る。殺人犯、強盗犯、レイプ犯、政治犯、精神病院あがり、脱走兵・・・、そんな最低最悪のならず者が寄せ集まった部隊だが、明日をも知れぬはかない命、今日を精一杯生きる仲間同士の熱い友情に貫かれていた。ソ連軍との果てなき戦闘がドイツ軍敗北を色濃くするなか、第2小隊に特務指令が下る。それは「ソ連軍制圧圏内に侵入して重油輸送列車を爆破せよ」というものだった。作戦成功報酬は後方部隊への配転と長期休暇。しかし、軍司令部は彼らをただの犯罪者集団、即ち消耗品以下にしか考えていなかった。第2小隊にとっては戦争の勝敗など関係ない。男たちは生き残るためにミッション・インポッシブルに挑んでいく。
ショー・コスギの映画を多く手掛けたゴードン・ヘスラーが監督したのだから、当然ショボいC〜D級の出来で、爆弾犬や女兵士の登場、娼館でのドタバタ劇など本筋にはあまり関係ないエピソードが無駄に盛り込まれて中だるみすることもしばしば。ドイツ軍の荒くれならず者部隊を主役にした点では目新しさがあるが、『戦争のはらわた』と『特攻大作戦』をパクった、と言えなくもないが、如何せん、緊迫感を欠いたダラダラした演出と下手な編集により『戦争のはらわた』ほどの迫力や悲壮感もなく、地味すぎるキャスティングにより『特攻大作戦』ほどのゴージャスな娯楽性もない。もっとも80年代後半といえば第二次世界大戦の映画など誰も見向きもしない時代、どのみち本作には売れる要素がなく、結果はその通りになっただけ。
ただ、こういう小粒な、歴史に残ってない戦闘を描いた戦争映画は大好きである。そして地味ながらも注目すべきキャストも何人かいる。その筆頭はデヴィッド・パトリック・ケリー。『ザ・ウォリアーズ』(79)や『48時間』(82)などのウォルター・ヒル映画に小悪党としてよく出演し、『コマンドー』(85)ではシュワルツェネッガーに崖から落とされたこの小男がイイ味を出している。意外にも軽快な動きと表情が豊かだったことが確認できたし、ショーン・ペンというより浅草キッドの水道橋博士に似ていることも判明した。また、ナチス将校のコスプレがバッチリ似合う憎々しさ最高のデヴィッド・キャラダイン、さらに映画の最後に登場して異様な赤ら顔で力の入り過ぎた悪役を演じたオルヴァー・リード。この二人のおかげで間延びしがちなストーリーをいくらか引き締めている。キャラダインの場合は身分相応のキャスティングだが、近年『グラディエーター』で渋い貫禄を爆発させたリードは、当時、仕事を選べない状況だったのだろう。赤ら顔はアル中の証しかもしれない(ウソ)。
戦争映画を観る際、作品の出来・不出来とは別に注目したいのが戦車。残念ながら本物のドイツ軍戦車が登場するケースは稀だが、それでも楽しみではある。冒頭に出てくる“タイガーのつもり”戦車はソ連のTシリーズ。T62よりも型が古そうな点から察するにT55か前後の型だろう。最大の見せ場ともいえる唯一の戦車シーンでは、ソ連軍側はT34/85で考証的にOK。一方ドイツ軍側は同じくソ連製のSU100だった。土を巻き上げながら斜面を走るSU100の映像は、「良いモノ見せてくれました」と言いたくなる。
