ホワイト・バッファロー
The White Buffalo(米・77)
監督/J・リー・トンプソン
製作/ディノ・デ・ラウレンティス、パンチョ・コーナー
脚本/リチャード・セイル
撮影/ポール・ローマン
音楽/ジョン・バリー
出演/チャールズ・ブロンソン、ウィル・サンプソン、ジャック・ウォーデンかつてインディア討伐で名を馳せたワイルド・ビル・ヒコックは、ホワイト・バッファローの悪夢に悩まされていた。この世の中でヒコックに恐怖を与えた唯一の存在が体重1.5トンの巨大暴走バッファローだった。ヒコックは自ら恐怖を克服すべくホワイト・バッファローを求めて各地を放浪していた。同じ頃、スー族の酋長クレイジー・ホースも娘を殺したホワイト・バッファローに復讐するため旅していた。ホワイト・バッファローが出現する雪山でヒコックとクレイジー・ホースは出会い、お互いを認め合う仲になるが、両者ともホワイト・バッファローとの対決を譲ることはできない。やがて友情と対抗心を抱く男たちの前にホワイト・バッファローが現れる。
西部劇と怪獣映画をミックスさせ、そこにワイルド・ビル・ヒコック、クレイジーホース、カスター将軍など実在の人物を絡ませるという詰め込み過ぎの企画は、当然のごとく空振り、陸版『白鯨』を目指したアイデアは見事に失笑を買う結果に終わった。そもそもあり得ない映画なのだが、せめてホワイト・バッファローがちゃんとしたシロモノであれば、もっと評価されていたはず。この映画を観た人のほとんどが口を揃えて「あのハリボテ丸出しの牛さえ出なければ・・・」と言うほど、メカ・ホワイト・バッファローが足を引っ張っている。もともとJ・L・トンプソンは映画の中にバッファローの姿を登場させず、影や音だけで観客にバッファローの恐怖を想像させるという高度な演出を考えていたが、製作者のディノ・デ・ラウレンティスがそれに難色を示し、機械じかけで動くホワイト・バッファローがわざわざ作られた。現代の技術なら素晴らしいヴィジュアルになっていただろうが、結果は不様極まりなかった。とりあえずホワイト・バッファローの造形のダサさを我慢して観れば、割と娯楽度は高いような気もするのだが、ストーリー的にも余分なものが過多で、因縁の宿敵カスター将軍一味とのひと悶着や、旧知の女ジェシーとの再会、酒場でならず者との銃撃戦など本筋に直接関係しないどうでもいいエピソードが多すぎる。
さて、個人的な話。この『ホワイト・バッファロー』は何度かテレビで放映されている。【〇〇ロードショー】だったか【〇〇洋画劇場】だったかは忘れたが、とにかく映画番組の「来週のこの時間は・・・」みたいな予告で、『ホワイト・バッファロー』が紹介され、バッファロー暴走シーンが一瞬流れたのを覚えている。子供心に「これは絶対面白い!」と期待したのに、一週間後にはすっかり忘れて見逃してしまった。しばらくして『ホワイト・バッファロー』をテレビで観たという人が実は多いことを知った。大して映画好きというわけでなくても『ホワイト・バッファロー』を覚えている人が多い。そしてみな一様に面白かったと言うので、悔しさのあまり「俺も見た見た」なんてその場しのぎのウソをついたこともあるぐらいだ。そういうことがあって『ホワイト・バッファロー』はなんとなく心に引っかかっていた。80年代後半にビデオで初めて観た時はそれなりの年齢だったので、それなりに落胆はしたが、子供の頃に観れば楽しめた映画であろう。DVDには森山周一郎氏による吹替えが収録されており嬉しい限り。
