テレフォン
Telefon(米・77)
監督 / ドン・シーゲル
原作 / ウォルター・ウェイジャー
脚本 / ピーター・ハイアムズ、スターリング・シリファント
撮影 / マイケル・C・バトラー
音楽 / ラロ・シフリン
出演 / チャールズ・ブロンソン、リー・レミック、ドナルド・プレザンス米ソの冷戦という構図が前時代的なものになったとはいえ、いま観てもなかなか楽しめる内容だと思う。ブロンソン演じる主人公グレゴーリ少佐が登場するのは映画のスタートから約20分後。それまで人間爆弾の脅威をドン・シーゲルの硬派な演出で説明されていく。その設定はSF映画のような斬新さがある。ソ連がアメリカに潜入させたスパイ、普段は一般市民として生活しているが本国より指令が下れば破壊工作を実行する所謂スリーパー。薬物催眠をかけられ自分の記憶を抹消されて完全にアメリカ市民として生活する彼らだが、催眠状態を解除するキーワードである詩の一節を吹き込まれると、自動的にアメリカ軍施設に突入、自爆する。狂信的で好戦的なKGBのダルチムスキーは独断でアメリカ国内のスリーパーに電話をかけて、彼らに破壊活動をさせまくる。電話一本で善良な市民が凶悪なテロリストになる設定は抜群にスリリング。ソ連の陰謀を見破ったCIAと、アメリカとの戦争を危惧したKGBはダルチムスキーの暴走を食い止めるために共同作戦をとった。KGBのグレゴーリ・ボルゾフ少佐とCIAの女工作員バーバラはダルチムスキー追跡を開始する。ストーリーも見事だが、ロシア人それも軍人がアメリカ市民を守るために同じロシア人を抹殺しようとする映画が、1977年のアメリカで作られたことも面白いだろう。ロシア人の主役はスラブ系のブロンソンこそ適役といえる。非情な工作員という役どころのためにブロンソンの人間味はあまり滲んでこないが、グレゴーリとバーバラが自らの意思でそれぞれが背負った使命や国家を捨てて解放されるラストは、警官バッジを川に投げ込む同監督作『ダーティ・ハリー』のラストにも通じる気がする。タイン・デイリー、ジョン・ミッチェムらの『ダーティ・ハリー』絡みの脇役も出演している。どういうワケか日曜洋画劇場でさんざん放映された。
