フェラーリの鷹
(伊・76)

監督/ステルヴィオ・マッシ
出演/マウリツィオ・メルリ、ジャンカルロ・スブラジ、リリー・カラーチ

 小学校高学年の頃(78〜79年)、スーパーカー・ブームというのがあった。「スーパーカー」という語感もかなりマヌケだが、当時は本当に夢中だった。「笑点」の座布団運び・山田くん(元ずうとるびい)が司会を務めていた『スーパーカー・クイズ(テレビ東京)』に真剣に出場しようかと考えていたぐらいだった。当時はヨーロッパ車を扱うディーラーが環八沿いに集中しており、杉並区の自宅から自転車で世田谷区、大田区までカメラを持って通ったものだ。スーパーカーの定義は要するにヨーロッパの凄くカッコよくて速いクルマという事だったと思うが、フェラーリ512BB、ランボルギーニ・カウンタックLP500S、マセラティ・メラク、デドマソ・パンテーラ、ランチャ・ストラトスなどが子供たちの憧れだった。町なかで偶然これらの車を見かけた時などは芸能人を見た時よりも興奮度マキシマムだった。
 『フェラーリの鷹』。タイトルに「フェラーリ」が付く以上、この映画にはスーパーカーが登場しなければならない。『フェラーリの鷹』という響きが“サーキットの狼”に通じるものがあるので、当然、BBかディノに乗った刑事が、カウンタックかポルシェの犯人を猛スピードで追いかけるカーチェイスが用意されてなければならい。だが、少年時代にスーパーカーの洗礼を受け、そのまま成長した人間が見せつけられたものとは・・・。おっそろしくダサいフェラーリが、これまたカッコ悪い車とノロノロと追いかけっこする映画だったのだ! これでは渡瀬恒彦主演の『狂った野獣』のほうがはるかに面白いのではないか? 車を使った強盗団を追うローマの刑事が身分を隠しダサいフェラーリに乗って敵を追いつめる。カーマニアの人から見れば名車かもしれないが、元スーパーカー少年の目にはカッコ悪い車にしか映らなかった。最後は強盗団のボスとのバトルでボスはクラッシュして大勝利というストーリーだが、一番面白かったのは、刑事が強盗団とおぼしき連中に近づき、一味の一人と腕試しするシーンだ。座席を後に倒して寝た状態で前を見ないでレースする、というバカなルールで挑む刑事。結果は刑事が勝利を収め、相手は電信柱に激突してしまう。何故、刑事が前を見ずに障害物をかわしながら走り抜けられたかというと、刑事は空を見上げならも、道路沿いの電線を見ながら運転していたからだ。ここが一番くだらなくて笑えたのだ。もう一度この場面を観たいがビデオを借りるほどの気力は起きない。テレビで深夜にでも放映されたら見たいと思う。

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