サブウェイ・パニック
(米・74)監督/ジョセフ・サージェント
出演/ウォルター・マッソー、マーティン・バルサム、ロバート・ショウトくしゃみ一発ですべてがパーになる犯人、なんと運のないヤツなんだろう。わずかに開いたドアから覗くウォルター・マッソーの顔がストップモーションになり、クールな音楽が流れるラストがキマった。切り離された一両の地下鉄がトンネル内で武装した4人組に乗っ取られる、というシンプルなストーリーながら、タイトに引き締まった展開に引っ張り込まれ退屈する暇などない。これ、言うまでもなく良質のサスペンスです、ハイ。私的持論では、シンプルなストーリーこそ面白い映画の絶対条件なのだが、もしも人から「例えば?」と問われれば、この『サブウェイ・パニック』を観て頂ければ理解してもらえると確信する。帽子、眼鏡、口髭、トレンチコートで身を隠し、サブマシンガンで武装した犯人4人は、お互いを色の名前で呼び、サクサクと計画を進める手際よさは見事。一方、ウォルター・マッソー演じる当局側の男は、いわゆるヒーロータイプではなく、どちらかというと、何処にでもいそうなオヤジ。一見華のないキャスティングだが、主要キャラの俳優たちの持ち味が発揮され、結果、重厚感をもたらしている。あまりハードボイルドなキャラではないがウォルター・マッソーのセリフが渋い。マッソーに銃をつき付けられたロバート・ショウが「いくらで見逃す?」と買収を持ちかけると、マッソーは「今年分の賄賂はもう締め切った」と返す。つくづく感心するのは、犯人側と当局側、双方からの視点がタイミングよく切り替わり、どちらの側から見ても展開がスリリングであること。バルサムを寸前まで追い詰めたマッソーに対して「いいぞ、マッソー」と応援したくなる反面、バルサムがくしゃみでドジった瞬間、思わず「バッカだなぁ、何やってんだよォ」と溜め息をついてしまった。