ブロンソン流スタイル

 チャールズ・ブロンソンはあらゆる役を演じてきました。カウボーイ、殺し屋、刑事などアクション・スターなら誰もが演じるキャラクターです。その役に合わせたファッションも多岐に亘りますが、ブロンソンはあらゆるファッションを着こなしています。肉体労働者系のゴツゴツした顔と体型を持っているにも拘わらず、殺し屋を演じた時のパリッとしたスーツ姿は都会的でダンディそのものですし、『ウエスタン』のハーモニカ役の薄汚れた流れ者カウボーイ姿もサマになっていました。組織に属さない一匹狼のアウトローというのがブロンソンのイメージに強くあるので、例えば兵隊や警察官などの国家機関の制服を着ることはあまりなかったと思います。それでも『特攻大作戦』では短く刈り込んだヘアースタイルと無精髭のワイルドな顔でUSアーミーの戦闘服に身を包めば、これまたカッコよく見えてしまうのが不・思・議。警察官の制服姿は私の知る限りではありませんが、『ボーダーライン』では国境警備隊の役で制服姿を披露してみせました。このようにブロンソンはキマっているスーツから汚れた恰好までこなしてきたわけですが、ファッションがブロンソンに合うのではなく、ブロンソンから放射される強烈なエネルギーに服が吸い取られてしまい、本来ならブロンソンのキャラには似つかないファッションであっても、観ている者が「ブロンソンなら仕方ない」という気にさせられているのではないでしょうか。私個人が好きなのはブロンソンのランニング・シャツ姿です。汗を流しながら筋肉を躍動させるブロンソンのカッコ良さを際立たせるにはランニング・シャツが一番だと思います。『ストリート・ファイター』は私見ではブロンソン主演映画では傑作中の傑作だと思っていますが、この映画でのブロンソンのランニング・シャツ姿が大好きです。『ブレイクアウト』ではテンガロンハットをがふってノースリーブのシャツを着ており、このルックスもなかなか良かった。結局、腕の筋肉こそプロンソンの力強さを表していたのだと思います。スポーツやボディビルで作ったのではなく肉体労働に酷使された肉体に築かれた本物の筋肉だったからでしょう。そういえば『夜の訪問者』のブロンソンのTシャツは普通サイズなのでしょうが、まるでチビTのように肩、腕がパンパンでした。そして帽子。これがまた似合うのです、ブロンソンは。多くの西部劇でテンガロンハットがサマになっていたのは説明するまでもありませんが、前出の『ストリート・ファイター』での鳥打帽がニクいほど渋くキマってました。最後の決闘に出向くため、ホテルの部屋を出る時に帽子をかぶる時の哀愁は本物でした。ところでブロンソンが絶対に似合わない恰好があるとしたら、野球やフットボールのユニフォーム姿ではないかと思います。『特攻大作戦』ではナチスの制服、『ロサンゼルス』では白衣、『スーパー・マグナム』では革ジャン、挙句の果てに『正午から3まで』ではプッと笑ってしまうようなコスプレまで披露してきたブロンソンですが、どうもスポーツとブロンソンは結びつかず、爽やかさのないブロンソンがグランドで映えるとは考えにくいのです。