恐怖の報酬
(米・77)監督/ウィリアム・フリードキン
出演/ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、ジョー・スピネルオリジナル版は未観だが、多分リメイク版の本作のほうが面白いだろう。ストーリーは極めて単純だが、中だるみせずに最初から最後までしっかり緊迫感が持続しており見応えは十分。開幕直後、4つのエピソードが続き、脈絡のないこれらがどう交叉してゆくのか予想でぎず混乱しそうになったが、これは主役4人が出会う以前の、彼らがどういう事情を背負う人間なのかを説明しているプロローグであることが序盤の終りに判明し、俄然、画面から目が離せなくなった。やたら硬派な作風ながらバックに流れるシンセ風電子音楽は気抜けしそうになるのが少し気になる。
中南米某国の米国系企業の油田で大火災が起きる。火災を食い止めるにはニトログリセリンを爆発させ酸欠状態を作り出して消火するしかない。しかし、ニトロは300キロ離れた山中の村にしかない。しかも、村から製油所までは未舗装の荒れた道が続くため、トラックでの陸送は極めて危険を伴う。石油会社は多額の報酬を条件に、4人のドライバーを村にいる外国人労働者の中から選び出す。かくして4人は地獄のロードに立ち向かうことになった。強盗で国外逃亡中のアメリカ人・ドミンゲスをはじめ、不正融資をして国外逃亡中のフランス人銀行家・セラーノ、ユダヤ人右翼の殺し屋・マルケス、祖国解放に命をかける若きパレスチナ人・カッセムが二台のオンボロ・トラックに分乗して一触即発の危険とともにゴールを目指す。
朽ちかけた吊り橋をウィンチを使いながらトラックを渡らせるシーンや、行く手を塞ぐ巨大な倒木の爆破、いきなり登場する山岳ゲリラなど難関突破の見せ場もまんべんなく用意されているので退屈はしない。世界の隅に吹き寄せられた男たちの、それでも人生リセットにかける必死さがある。ガラクタの中から部品を集めて組み立てられたトラックの頼りなさ、世界の最果てを思わす幻想的な場面が、この映画がもつ不吉さを効果的に盛り上げている。R・シャイダーの世捨て人ぶりの演技も良く、音楽に重厚さがあれば完璧だった。
