壮絶!人質奪還/戦闘プロフェッショナル
(米・87)

監督/ジョン・カードス
出演/アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ヴォーン、オリヴァー・リード

 珍しくアーネスト・ボーグナイン主演の本作を、製作者たちはシリアスなアクション映画として撮ろうとしたかもしれないが、どう考えても製作途中から無理だと気づき、コメディ映画に方向展開したとしか見えない。いや、これは大袈裟ではなく本当にそうとしか考えられない。また『荒野の七人』などのかつての名優ロバート・ヴォーンがせこい悪役というのもじつに悲しい。そもそもボーグナインとヴォーンという旬をとうに過ぎた怪優たちをキャスティングした時点で、この映画の不運は決定的だといってもいいだろう。ストーリーもありきたりで囚われた人質を救出するために、ひと癖もふた癖もありそうな海千山千の人間たちが集まりドンパチ大会、というもので別にどうってことはない。 こんなの誰が監督したんだ? と思ったらゲイリー・ビジー主演の『バラクーダ』(87)のジョン・“バッド”・カードスだった。納得。
 アフリカの独裁統治下の小国で政府軍に不当逮捕されたアメリカ人の父親(ボーグナイン)が、息子救出のために戦闘プロフェッショナルを集める。しかし集まったのは露出狂の女、元ヤクザで世界中を逃亡している日本人など救いようのないガラクタ同然のヤツらばかりなのに、そんなことにはお構いなしでボーグナインの指揮の元に作戦は開始される。白人なのにアフリカの独裁者(ヴォーン)は彼らを叩き潰すためにいろいろと手を打つが、現地の反体制派の協力を得たボーグナインたちはことごとく敵を破ってゆく。彼らに突破された政府軍兵士が本部に無線連絡するシーンでこんな会話があった。
  兵士 「やられました〜」
  ヴォーン 「どんなヤツだった?」
  兵士 「ゴリラみたいな顔した野郎でした」
  ヴォーン 「ゴリラ? あいつか・・・」
 ボーグナインがゴリラ顔であることは事実だが、世界中にはゴリラ顔なんて無数にいるだろうに、ゴリラに似ているという情報だけでボーグナインの正体を見破るとはさすがヴォーン! と誉めてやりたいところだが笑わずにはいられなかった。馬鹿馬鹿しい戦闘シーンや寒いギャグを繰り返しながらボーグナイン一行は政府軍の基地に侵入し、まんまと息子と人質を救出した。ヴォーンも倒した上にドサクサに紛れて現金まで奪った彼らはジープで隣国との国境を目指す。人質救出に成功した事よりも金を手に入れた事に狂喜していた彼らだが、突然、ボーグナインは札束を掴むと「この金はこの国のものだ」とトチ狂ったこと言い出して、その場で金を空に向けてバラ撒いた・・・。ここで画面がストップして電子音楽が流れる中、唐突に映画は終わる。しかし、こんなの87年に作るかなぁ。
 ボケ老人が息子を助けたい個人的エゴに、さらに頭の悪いヤツらがそれに無理矢理つきあわされたような映画だった。なんのヒネリもドンデン返しも緊張感もなく、主役側にだけ都合のいい展開でつまらないこと請け合い。しかし、個人的にはボーグナインの顔がたくさん観れることに歓びを感じたのて良しとしたいところ。

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