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シー・ウルフ
The Sea Wolf

(米・92)

監督/マイケル・アンダーソン
製作/デューク・フェナディ
製作総指揮/アンドリュー・J・フェナディ、ボブ・バナー
原作/ジャック・ロンドン
脚本/アンドリュー・J・フェナディ
撮影/グレン・マクファーソン
音楽/チャールズ・バーンスタイン
出演/チャールズ・ブロンソン、クリストファー・リーヴ、レン・キャリオー

 えっ、チャールズ・ブロンソンが海賊船の船長? マジ!? ブロンソンのキャリアにおいて、ある意味最大の汚点。『狼よさらば』『狼の挽歌』にこじ付けて『シー・ウルフ』なんてタイトルをつけたのかと思ったら原題だった。クレジットではブロンソンの名前が最初でも、実質的な主役は“車イスのスーパーマン”ことクリストファー・リーブ。船の衝突事故に遇い、海を漂流していた小説家のハンフリー(リーブ)を救ったのは、アラスカへアザラシ漁に向う帆船ゴースト号だった。文明社会からはみ出たならず者ばかりが乗り込んだゴースト号を支配する性格異常者の船長ラーセン(ブロンソン)。まさかブロンソンがこんな、本来ならアーネスト・ボーグナインとかがやりそうな役を演じるとは! ラーセンは完全にイカれたジジイで暴君。他人の命、自分の死すら気にかけない。恐怖と暴力を以って船に独裁体制を敷く。何故ブロンソンがキャスティングされたのだろう? というか何故ブロンソンはこんなの引き受けたのだろう? 狂った乗組員に振り回されながらハンフリーは人間の尊厳を守ろうとするが、それをラーセンの凶暴性が踏みにじる。ラーセンのやり方は他のアザラシ漁船をクルーたちに襲わせて獲物を横取りしてくるのだ。さらにラーセンの真の目的は、アラスカにいる兄デスの船を沈めることにあった。ラーセンは子供の頃にデスに殴られて脳に異常をきたしていた。それを根に持ち復讐しようとしているのだった。どうして子供の頃の恨みを生い先短い70過ぎのジジイになってから果たそうとするんだ? 結局、ラーセンは兄の船を大砲で攻撃するも、クルーたちに裏切られてゴースト号とともに海の藻屑となる。ブロンソンが映画の中で死ぬケースは過去にもあったが、ここまで惨めな最期はない。一見、海洋アドベンチャーみたいなストーリーだが、それに相応しいスケール感はゼロ。冒頭の船の衝突シーンは模型バレバレだし、最大の見せ場となるはずの船同士の砲撃戦は大砲の音がするだけ。肝心のスペクタル・シーンを全部省いている。それもそのはず、これは劇映画ではなく単なるTVM。ちゃんとしたものを作ろうもんなら船を3隻沈めることになるが、そんなバジェットはかけられなかったのだろう。一応、ブロンソンの名誉のため申し上げておくが、撮影時ブロンソン71歳。若者たちと乱闘したり、ずぶ濡れになって甲板をよじ登ったりと年齢を感じさせないガッツをみせている。


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