レプリカント
(米・01)

監督/リンゴ・ラム
出演/ジャン=クロード・ヴァン・ダム、マイケル・ルーカー

 罪のないシングルマザーが惨殺されたうえに放火される連続殺人事件が発生。トーチと呼ばれる犯人を追う刑事ジェイクは、退職前日の夜、寸前のところでトーチを取り逃がしてしまう。ボートの修理屋として第2の人生をスタートさせようとした彼は、NSA(国家安全局)からトーチの捜査続行を依頼された。しかも、NSAがトーチの毛包から複製したクローン、つまりレプリカントとコンビを組み、レプリカントの思考回路から行動パターンを解析してトーチを追いつめる計画だった。最初こそレプリカントを道具にしか考えていなかったジェイクだが、レプリカントにも心がある事を目の当たりにし、やがて両者の間には信頼関係が生まれてくる。そしてジェイクらとトーチが対決する時がきた。しかし、レプリカントは自分のオリジナルであるトーチに肉親の情を抱き揺れていた。
 凶悪犯とそのクローンが闘う、という何処かで聞いたようなストーリーだし、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演だし、どうせくだらない映画に違いないと覚悟していたが、わりと普通だった。というか、予想していたよりもマシな程度といったほうが適切かもしれない。いずれにせよ、目を見張るべき何かがあるワケでも、良い意味での香港アクション・テイストを感じさせるワケでもなく、早い話、アメリカで量産されているB級アクション映画の一本でしかない。そもそもレプリカントなんてSF的ネタを引っ張り出しておきながら、内容ときたら単なる刑事アクションで、たかが殺人犯の捜査に、国家最高機密のクローン技術が導入されるというストーリーからして飛躍しすぎている。レプリカント誕生シーンを凝ったCG映像で見せてくれるのかと思ったら大間違い。ジェイクがNSAの研究所に行くと、既に完成していたレプリカントがそこにいるのだ。要するにSF的映像はゼロなのである。これをSFとして観るのは不可能に近い。そういう矛盾点を差し引いて、どうにか見られるレベルに留まっているのは実質的主役をジェイク役のマイケル・ルーカーが担っているからだろう。香港アクションが世界的に人気を博して久しいが、だからといって見境なく、香港とアメリカを融合させればいいってものではない。
 しかし、まったく見所のない映画かというと、そうでもなかったりする。ジャン=クロード・ヴァン・ダムが悪人と善人の二役を、動作や表情でニュアンスを使い分けている。アクション以外に取り得のない俳優だと決めつけていたが、少しは演技面で成長したらしい。恐らくほとんどのアクション・スターはナルシストで、とにかく自分がカッコ良く映えるように撮られたがるものだろうが、本作でのヴァン・ダムは、悪人トーチ役では冷酷無比な極悪人を、善人レプリカント役では弱々しい人物を演じ、クールなヒーローという感じではない。イイところをマイケル・ルーカーに譲った形になっている。いつものようにヴァン・ダムだけが目立つ映画だったら、目も当てられない駄作になったことは確実だが、映画の大部分を占めるルーカーの存在がそれを救っている。本作でルーカーが演じるジェイクは武骨だが心優しきタフガイで、非常に好感が持てるキャラクターである。ラスト近くでジェイクが呟く「雨が好きだったな・・・」というセリフに不覚にもしんみりきちまった。
 ところで、ラストシーンが妙に意味深で、どう解釈すべきか謎が残る。普通に考えればハッピーエンディングなのだが、不気味な事件が新たに始まろうとしている、とも受け取れるような気もした。

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