リプレイスメント・キラー
(米・98)監督/アントワーン・フークア
出演/チョウ・ユンファ、ミラ・ソルヴィノ、マイケル・ルーカー、ケネス・ツァンチョウ・ユンファの初ハリウッド主演作! そのわりにはまるで中身がない。アメリカを根城にするチャニーズ・マフィアに雇われたA級ヒットマンのジョン・リー(ユンファ)が、組織の指令に背いたために逆に狙われる羽目に。中国にいる家族を守るために、一刻も早く中国に密出国せねばならない。ストーリーはあってもなくても変わりなく、要するにチョウ・ユンファが香港映画でさんざんやってきたことを、改めてアメリカ映画で撮りました、というだけの映画である。当然ジョン・ウーを意識しすぎたガン・ファイトが満載。ユンファはいつもどおりベレッタM92Fを二挺拳銃で撃って撃って撃ちまくる。とにかく撃って撃って撃ちまくる。最後は四挺拳銃まで飛び出す。この際、ストーリーなんかあまり関係ない。ブロンソンの『スーパーマグナム』(85)やアントニオ・バンデラスの『デスペラード』(95)と同じく、ただひたすら撃って撃って撃ちまくる。それだけ。
刑事スターン(ルーカー)に息子を射殺された中国系マフィアのボス、テレンス・ウェイ(ツァン)は、スターンの息子の暗殺を殺し屋ジョン・リーに命じる。だが、ジョンは狙撃銃の照準を子供に合わせた時、非情になれずにトリガーを引くことができなかった。ウェイはジョンが失敗したことに怒り、中国で暮らすジョンの家族を殺す指令を出す。ジョンはアメリカを出国するための偽造パスポート作りを偽造屋の女メグ(ソルヴィノ)に依頼する。そこを組織の殺し屋たちに襲われるが、危機一髪のところを脱出した。早く中国に行かねば家族を守ることができない。しかし、ウェイがスターンの幼い息子を狙っていることにジョンの心は揺れ動く。
まったくもって起伏に富まない直線的なストーリーはどうしようもなく薄っぺら。ジョンが義侠心からスターン親子を守るため反撃に打って出るあたりが、この映画唯一の男気爆発ポイントだが、いかんせんユンファのガン・アクシュンのみを重視しているため、演技力がどうのこうののレベルではない。暇潰しに観るための映画と決めつけても苦情はこないだろう。ユンファが服の裾をひるがえして銃を撃つシーンがスローモーションになったり、殺し屋がH&K MP5内臓のアタッシュケースを乱射したり、弾丸の薬莢に「死」の刻印があったり、そういう子供騙しのギミックにはやたら力が入っている。銃撃戦の末にジョンとメグは組織を叩き潰すが、ウェイが放った殺し屋たちがジョンの家族を狙っている。空港でのラストシーン、メグがジョンに偽造パスポートを手渡して言う「行かせたくない人のためにパスポート作るなんて・・・。まさかこんなに別れがつらくなるなんて」のセリフがちょっぴり胸に染みる。いつのまにか恋愛感情が芽生えたらしい。この後、ジョンが果たして家族を救えたのかが解らず、中途半端にスッキリしない。一応、製作総指揮にジョン・ウーの名前もあるが、とりあえず名前を担ぎ出されただけで、実質的にはほとんどノータッチとみた。どうでもいいことだが、“イイ顔”オヤジのダニー・トレホとアル・レオンをまとめて観れる、という意味では貴重。