レッド・サン
Soleil Rouge
Red Sun(仏=伊=スペイン・80)
監督/テレンス・ヤング
製作/ロベール・ドルフマン、テッド・リッチモンド
脚本/レアード・コーニッグ、ウィリアム・ロバーツ
撮影/アンリ・アルカン
音楽/モーリス・ジャール
出演/チャールズ・ブロンソン、三船敏郎、アラン・ドロンサムライとガンマンの珍妙なるコンビが西部の荒野を舞台に活躍するアクション映画。時代劇と西部劇をミックスさせた荒唐無稽なストーリーでありながら、単なるB級キワモノ映画にはならずに力のこもった一級品の娯楽映画に仕上がったのは、ブロンソン、三船、ドロンという当時のビッグ3を揃えた豪華絢爛なキャストと、監督テレンス・ヤングの手腕ゆえだろう。この映画の後にもいくつかイースト・ミーツ・ウエストの作品もあるが、ほとんどがお茶も濁せぬ救いようのない出来に終わっている。唯一の成功例かもしれない。1870年、日米修交のため、日本からアメリカ大統領に貢物である黄金の刀を届ける使節団が派遣された。使節団が乗った列車がゴーシュ(ドロン)率いる強盗団の襲撃を受け、侍の一人が射殺され、さらに刀が奪われてしまう。護衛官の黒田重兵衛(三船)は、ゴーシュに裏切られ置き去りにされたリンク(ブロンソン)を案内役にして、刀の奪還と部下の仇を討つため旅だつ。西部劇にサムライを登場させるという、一歩間違えれば、どうしようもない失敗作になりかなねない奇想天外な題材を、しっかりとした作りの映画にさせているのは、脚本の完成度の高さが一因である。実はこの映画は三船敏郎を侍として出演させることを大前提に脚本が書かれている。黒澤映画での仕事でも知られる橋本忍が脚本家として参加していることが大きく、西洋人がやりがちな、侍の描写の勘違い度はほとんど目に余らない。企画の段階ではリンク役にはクリント・イーストウッド、監督にはサム・ペキンパーの名前も挙がっていたという。つまり三船敏郎出演を中心点にしてプロジェクトが進行したのだ。ペキンパーの監督にも興味深いものがあるが、『キラー・エリート』でCIA対ニンジャをやらかした前科を考えれば、テレンス・ヤングに落ちついたのは正解だった。ブロンソンとドロンは『さらば友よ』で初共演し、結果的にブロンソンの一本勝ちとなり、二度目の共演となる本作での両者の立場はさらに明暗を克明にしている。非情な大悪党ゴーシュ役のドロンは『用心棒』の仲代達矢のようにニヒルな雰囲気たっぷり。一方のリンクを演じるブロンソンも主役に相応しい堂々の躍動感を見せている。が、武士道を絵に描いたような黒田の敢然たる態度の前では、ブロンソンもドロンも小悪党になってしまっている。正直なところ、三船のカッコ良さに比べると、ブロンソンは口数の多いセコい男に映る。挙句に黒田の柔術にリンクが徹底的に叩きのめされる場面もある。そんなリンクが黒田に友情というか同志の念を抱きだしたあたりから、ようやくブロンソンの男っぷりが見えてくる。金にしか興味のなかったリンクが、ゴーシュに撃たれた黒田の仇をとるラストには燃えた。
