アウトロー
(米・76)出演/クリント・イーストウッド
出演/クリント・イーストウッド、チーフ・ダン・ジョージ、ソンドラ・ロッククリント・イーストウッド5本目の監督作にして早くも集大成ともいえる西部劇。西部劇としては『シノーラ』、『荒野のストレンジャー』から3年ぶりとなる本作は、前2作が少々奇をてらった西部劇だったことを反省したのか、堂々の正統派西部劇に仕上がっている。マカロニ・ウエスタンの影響も窺えるものの、血生臭いだけの西部劇ではない。髭面の主人公、ガトリングガン乱射、復讐の物語などはきわめてマカロニ的要素だが、戦闘シーン以外の場面、とくに人々が惹かれ合っていく様子を情感たっぷりに見せくれる。殺された妻子の復讐のために生きる主人公が流浪の途中、それぞれに孤独な人々と合流し、身を寄せ合っていくストーリーにも魅せられるものがある。風景の撮り方も巧い。画面の中に光が巧みに採り入れられ、明暗のコントラストが絶妙な美しさを作り出している。
西部劇でのイーストウッドといえば、孤高のガンマンというイメージが強い。市民生活に馴染めぬ一匹狼が、町にふらりと現れて、去って行く。そんなパターンが多い。この映画の主人公ジョージー・ウェールズも孤高のガンマンだが、孤独を背負い込んだ理由までも明確にされている点で、イーストウッドが演じたガンマンの中でも、もっとも実感あるキャラクターといえるだろう。当時のイーストウッドは45歳前後だから、けして若くはないが、かと言って老人でもない年齢。マカロニ三部作や『シノーラ』、『荒野のストレンジャー』とは違う、深みや渋み、人としての弱さも併せ持つ人物を演じるには適齢期でもある。冒頭でジョージー・ウェールズが妻子の墓にしがみつきながら泣き崩れるシーンがあるが、こんなにも切なく、且つ、こんなにも弱いイーストウッドの姿は、これ以前のイーストウッドのイメージから想像し難かい。果たして、この『アウトロー』がイーストウッドにとってエポックメイキング的な映画になったのかはわからないが、実際、この映画以降は、アクション映画の娯楽性を残しつつも、人間そのものに比重を置いた作品が多いと思う。空回りした駄作も多いが。
イーストウッドが演じたガンマンたちは、キャラクター像が少しずつダブっている。『アウトロー』のジョージー・ウェールズと『許されざる者』のウィリアム・マニーとが重なって見えて仕方がない。逆の言い方をすれば、『許されざる者』がイーストウッドにとって西部劇の結晶だとしたら、その中で『アウトロー』や『ペイルライダー』がパーツとして流用されているような気がしてならない。