オフサイド7
(英・79)

監督/ジョルジ・パン・コスマトス
出演/ロジャー・ムーア、 テリー・サヴァラス、エリオット・グールド

  第二次世界大戦中、エーゲ海に囲まれたギャリシャのロードス島を占領するナチス・ドイツ軍。捕虜収容所々長ヘヒト少佐(R・ムーア)は島に眠る古美術品を捕虜を使って発掘させていた。表向きは売春宿を経営するゼノ(T・サヴァラス)はレジスタンスのリーダーで、アメリカ人捕虜や町の住民たちとともに島の奪還、さらにはナチスが島に建設したV2ロケット発射基地の破壊を計画していた。連合軍を慰問する途中に飛行機が墜落したダンサーのドティ(ステファニー・パワーズ)と脳天気な芸人チャーリー(E・グールド)が島に連行されてくる。戦争よりも古美術を横領することに躍起だったヘヒトはドティに夢中になる。一方チャーリーは捕虜たちが進めていた反乱作戦に合流する。その頃、ゼノは連合軍が接近しつつある事を知り、捕虜たちや町のレジスタンスらと行動を開始。ドイツ軍将校たちの前でドティにお色気ダンスを披露させ、メロメロにされたドイツ軍を一気に制圧する。ゼノはヘヒトを味方に取り込み、さらにゼノはチャーリーらをそそのかし島の山頂部にあるロケット発射基地をも陥落させるのに成功する。
 捕虜の中にはウィリアム・ホールデンやデビッド・ニーヴン、リチャード“黒いジャガー”ラウンドツリーらの顔があり、サヴァラスと行動をともにする売春婦にはクラウディア・カルディナーレ。ハンパでなく豪華キャストといえる。主要キャストはそれぞれ輝き、ステンガンをぶっ放すC・カルディナーレなどはパム・グリアばりのワイルドさでカッコいい。マシンガンが似合う女はイイ女と相場が決まっている。タイトル・ロールで最初にクレジットされるのはロジャー・ムーアだが、実質的な主役はサヴァラスとグールド。ジェームズ・ボンドを押さえて主役を張ったことがよほど嬉しいのかサヴァラスは、あの顔からは不釣合いなダンディなダンスを踊ってみせる。ゴキゲンなラロ・シフリンの音楽からも理解できるように、この映画には戦争映画とは思えぬお気楽さが充満している。要するに徹底した娯楽映画である。原題は“Escape To Athena”だが、悲壮感のないライトさと敵役のロジャー・ムーアが味方になるあたりが“オフサイド”ということか。派手な爆破シーン、水中アクション、山岳アクション、バイク・チェイスなど見せ場は充分に用意されている。しかしながら、ロジャー・ムーアが自軍を裏切る動機がイマイチ弱く、将校たる者が敵側に寝返り同胞を敵に回すのはいささか無茶な展開だった。ヘリを使った空撮の画面が計算されており、ロードス島の全景カットから人間の動きが確認できるまで地上に接近する、流れるようなカメラワークが素晴らしい。クライマックスのロケット発射基地襲撃シーンでは、SF映画ばりのコスチュームのドイツ兵たちが登場し、さすがイギリス映画、“OO7”シリーズのスペクターを思わせる。ドイツ軍はマヌケで弱く、緊迫感は希薄だが、突き抜けた青空に映える娯楽性は軽く観るぶんには楽しめる。

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