必殺マグナム
Murphy's Law

(米・86)

監督 / J・リー・トンプソン
製作 / パンチョ・コーナー
脚本 / ゲイル・モーガン・ヒックマン
撮影 / アレックス・フィリップス
音楽 / マーク・ドナヒュー、ヴァレンタン・マッカラム
出演 / チャールズ・ブロンソン、キャスリーン・ウィルホイト、キャリー・スノッドグレス

 80年代以降のブロンソン映画の多くは、ブロンソンの渋さを活かすことなく、低予算であるにもかかわらずアクション面に比重を置きすぎた結果、肝心のアクション面はおろかドラマ面も薄っぺらになり、有象無象のヒドい作品ばかりになってしまった。だが、この映画、みっともない邦題のセンスからは想像もつかぬほどカッコいい。人物像も描かれているうえに要所要所にハマった見せ場が挟まれており、『スーパー・マグナム』の次とは思えないほど丁寧に作られているように感じる。ブロンソン演じる主人公ジャック・マーフィーは妻に捨てられ酒に溺れる刑事。出ていった妻を忘れられず、その元妻が踊るストリップ小屋に通い、淋しさを紛らすために酒を飲み続けていつしかアル中になっていた。私生活が荒れているから当然ヒラ刑事。こんなだらしない男をブロンソンが演じるのは稀ではないだろうか。元妻とその夫が何者かに射殺され、容疑がかけられ逮捕されたマーフィーは、女車泥棒アラベラ・マッギーとともに警察を脱走する。かつての相棒刑事だったベンの元に逃げ込むが、マーフィーとマギーが去った直後にベンはまたしても何者かに射殺された。警察はマーフィーとマギーにベン殺害容疑もかけ、無実を証明するため二人は奔走する。マーフィーは10年前に検挙した精神異常の女ジョーン・フリーマンが真犯人だと直感するが・・・。『蜘蛛女』的なサイコ・スリラーと『ガントレット』的な刑事アクションが程よくミックスされ、スリリングかつテンポ良く展開されて目が離せない。追う者と追われる者の構図にもヒネリが効いており、警察とマフィアに追われながらフリーマンを追い詰めるマーフィーたちの位置関係が面白い。クライマックスは廃ビル内の三つ巴、四つ巴の戦い。舞台となる古いビルの佇まいが決闘の雰囲気を盛り上げ、まさに“見せ場”になり得ている。ただ画面が暗くて何をやってるのか解り辛いのが少し残念。