キス・オブ・ザ・ドラゴン
(仏・01)監督/クリス・ナオン
出演/ジェット・リー、ブリジット・フォンダ、チェッキー・カリョいよいよジェット・リーこと李連杰の世界的ネームヴァリューが固まりつつある。あまり興味のなかったリュック・ベンソンがクンフー映画を製作したことが単純に嬉しいし、フランス警察相手に大暴れする主人公リュウを演じるジェットがカッコ良過ぎる。チャイニーズ・マフィアの捜査のために中国からパリにやって来た中国警察の刑事リュウ。地元警察と協力体制が敷かれている筈だったが、パリ市警のリチャード警部とその部下たちこそ真の敵だった。夜の裏社会を牛耳っていたリチャード一味は、事実発覚を恐れリュウを抹殺しようと画策するが、リュウはケタ外れな戦闘能力を持っていた。警察の追跡をかわして潜伏したリュウはアメリカ人娼婦ジェシカと出会う。彼女はリチャードに麻薬漬けにされたうえ娘を人質にとられていた。娘の救出を約束したリュウは、刑事ではなくひとりの男の意地を賭けて巨悪に挑んでいく。ジェットはすでに若くないのに相変わらず少年っぽさが強く、こういうハードタッチの映画の主役はどうかと思ったが、予想に反して孤独な刑事をクールにきめていた。ブリジット・ファンダ演じる薄幸の女ジェシカは観ていて悲しくなるほど痛々しい。そしてなんといっても狂った警部リチャード役のチェッキー・カリョの憎々しさは半端でなく、それにふさわしい当然の報いを受けるラストは痛快このうえなし。アクション・シーンがタイミング良く挿入されていて中ダルミさせない。また『マトリックス』『グリーン・デスティニー』以降当たり前になったワイヤー・ワークを使わず、生身で縦横無尽の動きをみせるジェットが、一流と亜流のアクションの決定的違いをみせる。血まみれバイオレンス・シーンのエグさを心地良いものにしているのはジェットの引き締まったアクションによるところが大きいと思う。ボクシング・スタイルの長身の黒人とのバトルは『死亡的遊戯』を、道場内での対集団戦は『ドラゴン怒りの鉄拳』を彷彿させる。このようにアクションは文句なしに堪能できるのだが、ただひとつ気になるのは、中国人が同じ中国人を撃退する『リプレスメント・キラー』『ロミオ・マスト・ダイ』『ラッシュ・アワー』と違い、「中国人=善人、フランス人=悪人」という構図が露骨で、ヒロイックなジェットばかりが際立ち、劇中のフランス人に善人が存在しないのは、少々バランスがとれていない気がする。