地獄の7人
(米・83)監督/テッド・コッチェフ
出演/ジーン・ハックマン、ロバート・スタック、パトリック・スウェイジ、フレッド・ウォードこの映画には泣けた。映画観て泣くという事に抵抗を感じるほうだが、泣いた。それにしても配給会社はどうしてこんなチンケな邦題をつけたのか理解に苦しむ。そのセンスは≦C級映画丸出しだが、だからといってチャック・ノリスやマイケル・ペレなどが出てくるわけでも、一方的な解釈で極悪人に仕立てられたベトコンが出てくるわけでもない。G・ハックマンやR・スタックなどのベテラン勢が哀愁ある演技を見せ、フレッド・ウォードやパトリック・スウェイジなどが脇をしっかり固め、ストーリー、心情描写、戦闘シーンのディテールなどが見事な戦争アクション映画に仕上がっている。ベトナム戦争終結直前に捕虜となり未帰還兵となった息子を救出するため、集まった6人の同志とともにベトナム奥地に赴く退役軍人(G・ハックマン)の栄光なき戦いに切なくさせられた。同時期にアメリカで同じく戦時中行方不明者(M・I・A)救出作戦を扱った映画が乱発されたが、『地獄のヒーロー』(84)、『ランボー/怒りの脱出』(85)などの代表例を挙げるまでもなく、どれもヒドいものばかりだった。この一種ブームの火付け役となったのが本作『地獄の7人』だったと思う。この映画がその他の亜流バカM・I・A映画と一線を画しているのは、物語の結末が暗転するという点ではないかと勝手に推測しているのだが自信はない。程度の低いアメリカ人が好むご都合主義の勧善懲悪ではなく、アメリカのベトナム介入を身勝手な論調で正当化せず、またベトナム人を鬼畜のように描いていないのにも好感がもてる。自国の国家を敵に回してでも息子を助けようとする父親と男たちの行動は、原題の“Uncommon Valor”にふさわしい。また、仲間割れが生じたり、武器が没収されたりと、ありとあらゆる局面でトラブルが待ち受けており、主人公側にだけ都合よく進展しがちなこの類の物語をスリリングに引き締めている。悲壮な結末でありながらも、最後の最後に観客の気持ちを救ってくれるのはやはり実力派、G・ハックマンの演技力だった。
また、中盤まではM16ライフルなど近代戦用の武器が画面に登場していたが、後半はトンプソンSMGやB・A・Rなど旧式の武器になっており、マニア心を大いにくすぐられた。ガラクタ同然の武器をレストアするシーンも用意されていたが、こういう“遊び”の部分と重厚感あるドラマ部分をバランスよく配合した映画といえるのではないだろうか。つくづく邦題はマズかったと思う。
