地獄で眠れ
The Evil That Men Do

(米・84)

監督 / J・リー・トンプソン
製作 / パンチョ・コーナー
製作総指揮 / ランス・フール
原作 / R・ランス・ヒル
脚本 / デヴィッド・リー・ヘンリー、ジョン・クローザー
撮影 / ヤヴィア・ルウァルガバ・クルーズ
音楽 / ケン・ソーン
出演 / チャールズ・ブロンソン、ジョセフ・メイハー

 ブロンソンの顔もすっかり丸くなり、凄みや哀愁よりも好々爺の雰囲気が漂いだした。中盤、子供と戯れている姿は孫と遊ぶおじいちゃんの図だった。引退した殺し屋ホランドが中南米グアテマラの独裁政府の拷問人ドクター・モロックを倒すために戦う。ブロンソン&トンプソンの映画にロクなのはないが、これも相当にヒドイ。かつての人気がなくなった80年代こそブロンソンは仕事を選ぶべきだったと思う。あまりに強引なストーリーはトントン拍子で進むが中身は一切なく、登場人物の心境を表す描写もない。もっともトンプソンにそんな演出を期待するのは間違いである。グアテマラの独裁政権下、拷問狂のドクターは国民に残虐行為を繰り返す。親友ジョージがドクターに殺された事を知った元殺し屋のホランドは、ジョージの未亡人を連れてグアテマラに潜入する。ドクターの側近の男を次々に倒し、ドクターの妹を人質にとった。採石場におびき出されたドクターと、待ち受けるホランドの一騎討ちが、この映画のクライマックスかと思われた次の瞬間、周囲からドクターに恨みを抱く民衆が現れて、寄ってたかってドクターを殺してしまいジ・エンド。いくらなんでも、この内容はどうしようもない。主人公側にだけ都合のいいことばかりが起き、悪役側の仕掛けた罠はことごとく失敗。悪役たちはホランドに一撃で殺され、知恵を絞ったとは思えないホランドの軽率な行動はすべて成功する。そして読唇術の持ち主。隠居生活を送っていた男が報酬を受けずに親友の敵討ちとグアテマラの惨状を見かねて立ち上がるのは、如何にも観客の同情を引こうとしたクサい話。ブロンソンに殺された悪党どもが地獄で眠る前に、観ているこっちが眠ってしまいそうだ。前々から疑問に思っているのだが、ブロンソン&トンプソンの映画って、どういう客層を狙って連発されたのだろうか。