太平洋の地獄
(日=米・68)
監督/ジョン・ブアマン
出演/三船敏郎、リー・マーヴィン
三船敏郎とリー・マーヴィンの二大ビッグネーム共演作にして、戦争映画史上最も安上がりな作品といっていいだろう。太平洋戦争終結間際、南方の孤島で日米の生き残り二人が、木の棒などを使って原始的な殺し合いを繰り広げる。出演者は三船、マーヴィンのみの完全独壇場状態。
どのようにして両軍が全滅したのかは描かれていないが、日米の戦艦が攻撃し合った挙げ句に両艦とも沈没し、それぞれの唯一の生き残りが漂流した孤島で延々とお互いの命を狙い合う。しかもマトモな銃器もないため手製の武器と奇策を使って戦うが、こんな無益な事やっててもしょうがない、と気づいた二人が協力して島からの脱出を図る。やがて荒波を超えて大きな島に辿り着くが、そこも戦争の傷痕だけが生々しく残る無人島だった。やむなく二人は廃虚と化した野戦基地でまずは乾杯。とその直後爆弾の直撃を受けて二人ともあっさり爆死した。彼らが気づかなかっただけで戦争は終結していたのだった。
こんな終り方しなくてもいいのになぁ。製作側の意図としては、最後の最後に主人公をいきなり死なすことで戦争の無益さや人生の皮肉さを表現したかったのかもしれないが、どう考えても、それまでの流れからするとテンションのバランスが悪い。ハッピーエンドの別バージョンが存在するとみた。個人的に両雄とも好きな俳優だが、三船の豪快さがマーヴィンをすら普通のオッサンにしてしまうほどの迫力がある。殺し合いといっても命まで奪うほどの殺伐としたものではなく、背景の美しい自然と同じくどこか呑気な戦いが続く。戦争映画としては特異なスタイルで戦車も戦艦も戦闘機も出ず、銃撃戦すらない。手作りのイカダで荒波を突破してゆく場面は男らしい迫力もある。娯楽映画としてはかなり面白いアイデアであることに加え、三船、マーヴィンの圧倒的な存在感で最後まで楽しめる。
