脱走山脈
(英・68)

監督/マイケル・ウィナー
出演/オリヴァー・リード、マイケル・J・ポラード

 忘れもしない、82年、父親がビデオデッキを買ってきた! それからというものテレビで放映される映画はとりあえず録画して何度も繰り返し観た。たとえそれがくだらない映画だとしても。最初に録ったテレビ映画は松田優作の『野獣死すべし』で観すぎてセリフまで憶えてしまった。次に録った映画がこの『脱走山脈』だった。常識的に考えれば、戦時中に脱走した捕虜が象を連れて逃げ回る、なんてことはあり得ない映画だが、当時は本当に繰り返し観た。第二次世界大戦ヨーロッパ戦線、オーストリアでドイツ軍の捕虜になったイギリス兵(オリヴァー・リード)が、何故か動物園でメス象のルーシーの飼育係として働かされる。ある日、ドイツ軍の命令によりルーシーを郊外に移すことになり、オリヴァーは二人のドイツ兵とともに徒歩でルーシーを連れて旅をする。途中、ドイツ兵のひとりを死なせたオリヴァーはもう一人のドイツ兵と意気投合しスイス国境を目指す。やはり脱走兵のアメリカ人(マイケル・J・ポラード)率いるパルチザンと合流し、ドイツ軍の迫撃をかわしながらスイスに脱走した。という粗筋だった。イギリス映画という事が原因なのかもしれないが、戦争映画にもかかわらず上品すぎてアクションを期待すると肩透かしを食らう。オーストリアの風景が牧歌的で、かつ主人公が戦争や暴力を極端に嫌う性格なので、戦争映画の緊迫感はほとんどない。彼とは対照的に脳天気に破壊活動をするマイケル・J・ポラードのズッコケぶりも緊迫感をさらに剥ぐことに一役買っている。オリヴァーがピンチになるたびに信じられないぐらいのナイスなタイミングで現れるマイケル。「お前、本当は尾行してるだろ?」と思えるぐらい都合よく登場してくれる。でも普通すぎるキャラクターのオリヴァー・リードよりもマイケル・J・ポラードのほうが印象に残ってしまい、ビデオで繰り返し観ているうちに、マイケルのセリフのほとんどを憶えてしまった。

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