Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯
(日・00)監督/大串利一
出演/ブルース・リー、デビッド・リー、ダン・イノサントいきなり辛辣だが、この映画が公開されたことでロバート・クローズ版『死亡遊戯』(78)の価値は完全になくなったのではないだろうか。
映画の前半は『死亡的遊戯』製作と撮影のエピソードにまつわる再現ドラマで、後半はブルース・リーが遺した実際のフィルムが使われる、という変則的な構成になっている。アニメ風CGにより死亡塔の外観が説明され、リーに関わった人物のヤラセなしのインタヴューも挿入され、興味深い事柄がいろいろと解説されてゆく。とくに撮影当時を語るダン・イノサント本人の映像には感動すら覚えた。要するにクローズ版『死亡遊戯』では使われなかった約40分に及ぶ死亡塔での激闘シーンと、完全なNGシーンを蔵出し一挙公開するために作られた映画なのだが、デビッド・リーなる無名男優がブルース・リーを演じるドラマ部分は考えようによっては非常にどうでもよく、いっそのこと無視してもいいぐらいだ。当然、重要なのはクローズ版『死亡遊戯』未収録フィルム。ただ、この映画をブルース・リーに思い入れのない人や未公開フィルムの貴重さにピンとこない人が観ても楽しめるかは別問題で、対象がブルース・リー・ファン限定の作品になっている点は否定できない。クローズ版『死亡遊戯』を事前に観てから改めて観れば意義や楽しみは倍増すると思う。結局のところブルース・リーの頭の中にしかなかった『死亡的遊戯』の本当の全貌は知る由もない。もしや死亡塔でのアクション・シーンのアイデアと大雑把なイメージしかない段階で、フライング的に撮影に入ってしまったのかもしれない。が、そんな事はもうどうでもいい。とにかくラスト約40分の鬼気迫るブルース・リーの殺陣を素直に堪能するしかない。ワイヤーワークやコマ落としを一切使わない生の人間力を感じられる。
仮説は無意味で空しい限りだが敢えて断言する。リー自身により『死亡的遊戯』が完成されていたら、間違いなく彼の最高傑作になっていたはずである。