フレンチ・コネクション
(米・71)監督/ウィリアム・フリードキン
出演/ジーン・ハックマン、ロイ・シャイダーニューヨーク市警のポパイと相棒クラウディが、マルセイユとニューヨークを結ぶ麻薬シンジケートを叩き潰すために大奮闘するアクション・サスペンス。良質なアクション、ハードボイルド作品がひしめく70年代映画の中でも、抜きん出て骨太な一本だと思う。一応、実話をベースにしており、それゆえに前半は地味な展開だが、後半部のクライマックスのひとつ、カーアクションが凄まじくカッコ良い。組織が放った殺し屋に反撃したポパイは、逃げる殺し屋が乗った列車を車で追跡。高架下の大通りを一般車を蹴散らしながら爆走する。この映画でのジーン・ハックマンは、全盛期のスタン・ハンセンを思わせるブル・ファイターでワイルド&パワフルに暴れまくる。しかも、撮影当時ハックマンはすでに40歳前後。ド根性オヤジ最高! 法律無視お構いなしのアウトロー刑事の代表格といえば、もちろん『ダーティハリー』が挙げられるだろうが、本作のほうが先に作られたことは無視できない。主人公のポパイことジミー・ドイル刑事は、いわゆる法の番人タイプの警察官というよりも、一歩間違えれば完全なアウトロー、平たく言えば、ヤクザ者か悪漢、とにかくロクでもない男。それでいてエネルギッシュで、情熱溢れる男でもある。正義感や職務ではなく、狙った獲物に食らいつく肉食系本能を発揮する。張りきり過ぎて、カーチェイス・シーンでは一般市民を巻き込んで街をパニックに叩き込み、挙げ句に味方を誤射して死なせてしまったり、まさに“ブレーキの壊れたダンプカー”。クラウディ役のロイ・シャイダーもしゃくれた顎を突き出してイイ味出していたが、ハックマンの暴れっぷりに陰が薄く、すぐに暴走するポパイをなだめるサポート役に徹した。とはいえ、それでもロイ・シャイダーの存在感は十分に印象的だった。
冒頭、いきなりマルセイユのアパートメントで男が殺し屋に射殺される。場面が切り替わり、ブルックリンの裏通りでホパイとクラウディがヤクの売人を痛めつけている。また場面が切り替わると、今度はマルセイユの麻薬組織のボスが愛人とイチャイチャしている。・・・という具合に、主要人物を別々に描き、お互いが遭遇する以前のエピソードをパーツとして散りばめたオープニングはフリードキンの映画の特徴である。それは『エクソシスト』(73)や『恐怖の報酬』(77)などでもみられた。それぞれのキャラクターがもつれ合いながら、やがてドラマチックに出会ってしまう。映画の前半部で、浮かび上がってくる入り組んだシンジケートの実態を、ポパイとクラウディの会話などを織り交ぜて説明していく展開がテンポ良い。シャープなドキュメントタッチで独特の緊張感を出させるフリードキンの手腕は卓越していると思うのだが、なぜか80年代以降は急速に落ちぶれていった感じがしないでもない。
ラストにはモヤモヤが残ると言わざる得ない。ポパイらは取引現場に踏み込んだものの、ポパイがFBI捜査官を誤射し、肝心のボスを逃がしてしまう。唐突に幕切れるエンディングには驚いた。実話なのだから仕方ないとはいえ、硬派な物語の締めくくりとしては、ちょいとばかし後味が悪い。多くの観客が感じたであろう、悪党が生き延びてしまうラストの不満を、強引に解消させるべく作られたジョン・フランケンハイマー監督による続編『フレンチ・コネクション2』では、弱さも垣間見せるポパイの人物像が深まり、これはこれで良かったと思うが、ロイ・シャイダーを欠いたキャスティングが残念でならない。