エスケープ・フロム・L.A.
(米・96)出演/ジョン・カーペンター
出演/カート・ラッセル、ステイシー・キーチ、スティーヴ・ブシェミ、ピーター・フォンダ、パム・グリアよほどアイデアがなかったのか多少複雑になっているものの基本的には『ニューヨーク1997』とほぼ同じで、リメイクといってもおかしくないストーリー。前作のキャスティングもなかなか面白いものがあったが、今作はさらにマニアックになり、ピーター・フォンダ、パム・グリア、スティーヴ・ブシュミ、挙げ句に『死霊のはらわた』のブルース・キャンベルやアル・レオンまでが登場し、アクション、ホラー、SFが好きなファンなら大喜びしそうな顔ぶれ。ジョン・カーペンターには幼稚な映画しか撮る気がないのか、幼稚なファンの期待に応えているだけのか、とにかくカーペンターの映画は確信犯的なバカ映画しかないのは周知の事実。2013年、アメリカ合衆国から隔離されたロサンゼルスは、いまや社会不適合者の流刑島となっていた。島内にいるテロリストのリーダーは世界のエネルギー供給を停止させてしまう装置を手に入れて政府を脅迫する。大統領は装置の奪還とテロリストの抹殺をプリスケンに要請する。10時間以内に作戦を成功させなければ、体内に注入された新型ウィルスによりプリスケンは死亡してしまう。という具合に、前作から全然進歩のないストーリーではあるが、こんなもんだろう。何故ならこれはカーペンターの映画なのだから。CG多用の映像なのに、わざとそうしているとしか考えられない安普請さ。おもちゃ屋とゲームセンターをダイナマイトで爆破したかのようなお子ちゃまアクションとでもいうべきか。まったく中身はないが画面を観ているだけで単純に楽しめるハッタリ映画こそ、カーペンターの真骨頂といえる。間違っても観客の頭を使わせるつもりはないらしい。最初から最後までアクションの連続で、バイクに乗ったり、サーフィンしたり、バスケしたり、ハングライダーで飛んだりと、10時間のうちにこれだけの事をやってしまうプリスケンはやっぱり大した男だ。
ずっと前から思っていたが、カート・ラッセルの顔ってエラが張ってて、なんかカッコ悪い。あまりアクション映画のヒーローを演じられる人には見えない。どちらかというと『不法侵入』(92)や『ブレーキダウン』(97)で演じたようなヒドい目に遭って奮闘する一般市民役のほうが似合う。希代のアウトロー、ボブ“スネーク”プリスケンはマカロニ・ウエスタンのガンマンのようにニヒルな一匹狼。長髪にアイパッチでハードロッカー風のルックス。強引にカート・ラッセルをそんなヒーローに仕立ててしまうあたりが、この映画が実はギャグ映画であることの証しだろう。しかも結果的にプリスケンはカート・ラッセルにとって最大の当り役になっている。