DENGEKI 電撃
(米・01)監督/アンジェイ・バートコウィアク
出演/スティーヴン・セガール、DMX、イザイア・ワシントン、マイケル・ジェイ・ホワイトバカを承知のうえで告白すると、ケイシー・ライバックが活躍する『沈黙の戦艦』と『暴走特急』は好きだ。スティーヴン・セガールの大根役者ぶりはさておき、理屈抜きにアクションを楽しめるレヴェルには達していると思っていた。しかし、『暴走特急』後は急激に失速し、ワケのわからんニセ・沈黙シリーズが公開される度に、甘すぎた期待はことごとく裏切られ、もはやこれまでか、と諦めていた。そして『沈黙のテロリスト』を観終わった映画館のシートで、あまりの内容に閉口し「俺は沈黙の観客か」と心で呟きセガールと縁を切ることを決意した。にも関わらず、続いて公開された『DENGEKI 電撃』を映画館で観ちまった。再びバカを承知で告白すると、この映画、結構楽しめてしまった。というか近作のヒドさと比べれば格段にイイ。もっともセガール以外の俳優が主演していたとしてもそこそこ楽しめたと思うが。こういう類いの映画は観ている間だけは画面を楽しめるのだが、観終わると何もハートに残らない。もちろん本作も例外ではない。ただ、必死に観客の目を引こうと努力した形跡がある。たとえば、冒頭の市街地でヘリまで繰り出しての派手な銃撃戦。メインストーリーとはリンクしない無駄な見せ場だが、オープニングでのこの“掴み”は、その後の見せ場を期待させる。事実、やや過剰なタイミングで、流行のワイヤー・ワークまで導入したアクション・シーンが用意されている。余計な事を考えずに観れば退屈せずに時間を過ごせるぶん、主人公の人物描写は極端に貧弱だ。デトロイト市警の刑事オリン・ボイドが暴れすぎて交通課に左遷させられる。偶然、警察から流出したヘロインが闇ルートに出回っていることを知り、単独で捜査に乗り出す。単細胞刑事ボイドが追う事件の背後に、裏世界に影響力をもつ謎の黒人ギャングスタが浮上してくる。ストーリーの骨格は既に使い古されている。カッコイイのかカッコ悪いのかよく解らんセガールよりも映画初出演のギャングスタ・ラッパーDMXの演技力のほうが可能性を感じる。格闘シーンでみせるアクションと哀愁ある風貌でセガールを食っている場面もしばしば。セガールに評価できる点があるとしたら、本人以外は誰もがみっともないと思っていたポニー・テールをカットしたことが挙げられる。なんとなく今後のスティーヴン・セガールのポジションが想像ついた。聞くところによると、セガールやジャン・クロード・ヴァンダムなど所謂B級以下のアクション映画は黒人の観客層をあて込んで製作されるらしい。この映画、登場人物のうち黒人のほとんどが善人で、白人のほとんどが悪人だった。大物ギャングスタだと思われていたDMXですら、その正体は警察の腐敗を暴く正義漢だった。さらに全編に流れるBGMはラップやヒップ・ホップ。非黒人のセガールが主役を張っているとはいえ、随所にブラックスプロイテーション・テイストが露骨に溢れている。