地獄の戦場コマンドス
(西独=伊=仏・68)監督/アルマンド・クリスピーノ
出演/リー・ヴァン・クリーフ、ジャック・ケリー子供の頃にテレビで観て、ストーリーはおろかタイトルすら覚えてないのに、断片的に記憶に残っている映画って結構ある。この『地獄の戦場コマンドス』もそんな一本なのだが、ラストで生き残った敵味方2人が、お互い銃を捨てて戦死者の遺体を並べるシーンが子供心に悲しかったのを覚えている。しかし、そのシーン以外の記憶はまったくなかった。時は流れて1999年、洋泉社から刊行された二階堂卓也氏の著作「マカロニ・アクション大全」なる本の中で、偶然にもこの映画について触れられており、この時までイタリア映画、いわゆるマカロニ・コンバットであることすら知らなかったのだが、ようやくタイトルを確認するに至った。タイミングよく中古ビデオを入手することもできた。
1942年10月アフリカ戦線、砂漠の中のオアシスを占拠するイタリア軍の基地。アメリカ陸軍のサリバン軍曹(L・V・クリーフ)とバリ大尉(J・ケリー)は部隊を率いて基地に潜入、オアシスを制圧する。アメリカ軍本隊が到着するまでイタリア軍になりすましてここを確保し、近隣に駐屯するドイツ軍の水を断絶しなければならない。しかし、捕虜のイタリア兵が脱走、ドイツ軍にサリバンらの正体が露呈してしまう。戦車を含む機甲部隊との戦闘の火蓋が切って落とされた。両軍入り乱れての戦闘の末、両陣営はらそれぞれ一人を残して全滅する。2人は殺戮の虚しさを感じて、銃を捨てると戦友の遺体を並べていくのだった。
ストーリーは極めて他愛ないが、安普請でチャチな映画が多いイタリア製戦争映画にあって、クライマックスの戦闘シーンは戦車まで繰り出すなかなかの豪勢ぶり。これで後味が良ければそこそこ楽しめる内容だと思うが、中途半端にぶつ切れるエンディングはなんとも重苦しい。アメリカ軍がイタリア軍に扮しているため、敵味方の判別がつきにくい。リー・ヴァン・クリーフが主役といえるほど目立ちもせず、日本軍に負けた悪夢を引きずるサリバンの内面が描かれているものの、それが物語に起伏を与えるほどに活かされていない。この映画での主役はイタリアにとっての第二次世界大戦の敵国アメリカ軍で、しかも、徹底的にイタリア軍を虐殺する。ここまで自国民の軍隊を惨めに描くイタリア映画界にはプライドはあるのだろうか? ないと思う。国内版ビデオのタイトルは『略奪者』。
