ブレイクアウト
Breakout(米・75)
監督/トム・グライス
製作/ロバート・チャートフ、アーウィン・ウィンクラー
製作総指揮/ロン・バック
脚本/ハワード・クライツェク、マーク・ノーマン、エリオット・ベイカー
撮影/ルシアン・バラード
音楽/ジェリー・ゴールドスミス
出演/チャールズ・ブロンソン、ロバート・デュヴァル、ジル・アイアランド無実の罪でメキシコの刑務所に投獄された夫ジェイ(R・デュヴァル)を脱獄させるため、妻アン(J・アイアランド)が仕事を依頼した男は偏屈なパイロット、ニック・コールトン(C・ブロンソン)だった。ニックはセスナ機で不法越境して野外労働中のジェイを救出しようとするが、メキシコ警察の銃撃を受け失敗。続いて娼婦に変装させた相棒のホーク(ランディ・クエイド)を刑務所内に潜入させてジェイを連れ出そうとするも、作戦の情報が刑務所側に漏れていて、ホークは半殺しにされてしまう。失望するアンに成功を誓ったニックは最後の作戦を実行に移す。刑務所の外でホークたちに陽動作戦をとらせて警備が手薄になった隙を突いて、ヘリコプターで刑務所の中庭に強制着陸、囚人たちが混乱している隙にジェイを乗せて飛び立った。
他愛ないストーリーである。奇想天外な手口で敵の裏をかくスリリングさがなく、ヘリコプターを使うことが最大の奇策であり、最大の見せ場というのは少々アイデア不足。相棒の男を女に変装させる作戦はまるでコントにような発想といえる。しかし、この映画が実話を下敷きにしているため、映画よりも先に実際にコントのようなことをした人間がいたということになる。それはさておき、本作の特筆すべき点は、ブロンソンのキャラにある。高額なギャラに気合いが入ったのか、他の作品ではみられない弾けぶりをみせている。寡黙で渋いのがブロンソンの持ち味だと思うが、主人公ニックは口数が多く、どこかいいかげんな男で、ブロンソンが演じたキャラにしては軽薄な印象をうける。が、逆の見方をすれば、無口で無表情の役どころが多かったブロンソンが、ここではセリフも多く、また感情そのままのガムシャラな行動や表情をみせるのが面白い。アンに対して噛みつくように「俺のことを頭のおかしいルンペンだと思っているんだろ。この帽子はメキシコのガソリンを漉すのに使うんだ」と言う場面や、作戦の連敗で泣き崩れるアンを元気付けるニックの笑顔に、ブロンソン特有の武骨なダンディズムをみた。淡い思いを寄せていたアンがジェイの元に走るのを寂しげな表情で見つめるニック、仲間たちに切ない胸を裡を悟られまいと、「ビールをおごるぜ」と言う粋なラストシーンが印象的。ちなみに本作でチャールズ・ブロンソンは史上初の100万ドル・スターになった。