ブルーサンダー
(米・83)

監督/ジョン・バダム
出演/ロイ・シャイダー、マルコム・マクダウエル、ウォーレン・オーツ

 陰謀渦巻くロサンゼルス上空を舞台にハイテク・ヘリがエア・バトルを繰り広げるアクション。砂漠や山岳地帯でヘリがドッグファイトする映画はよくあるが、市街地上空でそれをやってみせるのだから凄い。なんと言っても後半のヘリ同士の格闘戦が見もの。とくに2機のヘリが建物の間を地上すれすれに飛び交うシーンは見応え十分。
 対テロ用ハイテク・ヘリコプター、ブルーサンダーのパイロットに抜擢された航空警察パイロットのマーフィーは、パトロール中に軍と連邦政府の陰謀を知ってしまう。それは南米系住民地区で暴動を起こさせ、ブルーサンダーの武器を行使して暴徒を鎮圧させる計画で、ブルーサンダーの対テロ能力を試験するのが狙いだった。この計画を阻止すためブルーサンダーで行動を開始したマーフィーを、軍、警察、国家権力が追う。政治サスペンスが絡められ、なおかつドラマとアクションのパートがバランス良く作られており、理屈抜きに楽しめる娯楽映画に仕上がっている。
 フランス製のガゼルを映画用に改造したブルーサンダーの造形がカッコ良かった。実際に存在しても不自然ではないほど無理なくまとめられている。これがもしも中学生テイスト丸出しのSFチックなデザインだったら、『ロボコップ』ばりの幼稚な映画として失笑を買っていただろう。コブラやアパッチなど実在の攻撃ヘリと比べても、外見的にはさほど現実性を欠くものではなく、また性能面でもローター音を消す機能以外は、とりあえず“あり得る”許容範囲内に留まっている。
 こういうマシンを前面に打ち出す映画は、人物像の描き込みが薄っぺらになりがちだが、ロイ・シャイダー演じるマーフィーののっぴきならない内面もしっかり描かれており、ブルーサンダーという無機質なマシンに、血の通ったキャラクターとして関わってくる。他のキャストでは敵役コクランのマルコム・マクダウェルにも注目。『時計仕掛けのオレンジ』の頃からすると随分老けているので、これがあのアレックスか? と感慨深いものがこみ上げてくるが、偏執狂的な性格異常者の役どころをこなしている。さらにマーフィーの上司役のウォーレン・オーツ。本作が遺作となってしまっただけに、70‘sガンコオヤジの気概をみせてほしかった。

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