雨の訪問者
Le Passager De La Pluie
Rider On The Rain(仏・70)
監督 / ルネ・クレマン
製作 / セルジュ・シルベルマン
脚本 / セバスチャン・ジャプリゾ
撮影 / アンドレア・ヴァンダン
音楽 / フランシス・レイ
出演 / チャールズ・ブロンソン、マルレーヌ・ジョベール、ジル・アイアランド地中海岸の町に暮らす新妻メリーは、ある夜、闖入してきた男にレイプされ、猟銃で男を射殺する。メリーは事件を隠すため死体を海に捨てた。翌日、彼女の前に正体不明の男ドブスが現れた。ドブスは事件の真相を知っているようだが、殺人については興味を示さず、死んだ男が持っていた赤い鞄について執拗に問い詰める。鞄に隠された秘密を巡り、何かの使命を帯びたドブスと、夫との生活を守るために必死に抵抗するメリーとの駆け引きが始まるのだが・・・。
やっぱりアメリカ映画でのブロンソンのほうが魅力がある。いかにもフランス映画らしく、ゆったりとした展開にジリジリさせられ、ビデオではフランス語吹き替えで、どうにも違和感を感じてしまう。フランシス・レイの音楽やルネ・クレマンの演出が好きな人なら楽しめるだろうが、カウボーイや殺し屋のブロンソンが好きな人には少々退屈だと思う。マルレーヌ・ジョベールの無垢な可愛らしさは良しとしても、生理的にフランス映画は好きになれないため、ブロンソンが出演しているという理由がなければ何の興味も持たなかったろう。本人をモデルに書かれた脚本だけに、ブロンソンのダンディぶりが随所で出ているのだが、それが逆に不自然でクサい。劇中、岸壁に腰を下ろしたブロンソンは、ファッション雑誌のモデルでさえ恥ずかしくて出来ないようなポーズをとり、ホテルの部屋では意味なく上半身裸になり、何気ない仕種がいちいちキザっぽくてイヤらしい。ブロンソンがいきなり窓ガラスに向ってクルミの実を投げつける。何の意味があるのかと思いきや、本人曰く「誰かを愛しているとガラスは割れる」らしい。また、途中からドブスはメリーのことを“ラブ・ラブ”と呼ぶが、その理由はメリーが着けていたエプロンに“LOVE LOVE”と刺繍されていたから。考えてみて頂きたい、ブロンソンが恋占いをして、女を“ラブ・ラブ”と呼ぶサマを! 似合わん! とはいってもアクションがほとんどないぶん、ブロンソンの演技力が意外にも振り幅が大きいことは見て取れる。サスペンス映画としての完成度は高いとは思えない。レイプ → 射殺 → 証拠隠滅 → ドブス登場に至る中盤まではスリリングなのだが、それ以降はブロンソンとジョベールの二人芝居になり、やや興醒め状態。両者が恋愛感情に似た想いを抱き合うのには無理があるし、ラストでブロンソンが投げたクルミが窓ガラスを割るオチがオシャレに感じない。この場面でブロンソンがみせる「おや?」という表情は思わず笑いそうになった。